看護師就業者数は年間3万人増加しているにも関わらず、2025年には6万人〜27万人程度不足するだろうと言われています。少子高齢化が進む中、今後ますます看護師の採用が厳しくなることが予想されるでしょう。
紹介会社や人材派遣サービスを使わず、採用しませんか?
紹介会社や求人広告の掲載・人材派遣サービスの利用は、病院や人事担当者にとって、採用コストが頭の痛い問題です。紹介会社から看護師一人を採用すると、紹介会社にその人の年収の20〜30%の手数料の支払いが発生します。また人材派遣で看護師を依頼し、正規職員より1.5倍以上高い人件費が発生 している病院も多いのではないでしょうか。
こうした採用コストを削減し、より良い人材を確保できるよう、ホームページ・SNSを利用して自院で積極的に採用する方法をご紹介していきます。
ホームページで採用サイトを作る
最近、病院のホームページ以外に、看護部に特化したホームページを見かけませんか?やわらかい色彩で、笑顔で生き生きと働く看護師たちの写真が多く掲載されています。
看護部に特化したサイトは、これから看護の道を目指す方や、就職・転職を考えている看護師に向けて採用目的で作られています。
ホームページ全体に、ふんだんに写真や動画を盛り込み、病院・クリニックの雰囲気が伝わるようにしましょう。院内ではあたりまえに行っていることも、求職者は知りたい情報なので、院内行事なども載せるようにしましょう。
これから、ホームページに掲載するコンテンツ例を対象者別に詳しく書いていきます。求職者の欲しい情報をお伝えできると、興味を持ってもらうことができ、病院見学会やインターシップの参加者の増加や採用に繋がるでしょう。
気をつけたい点は、過剰に良いところばかりをアピールすると、就職後「こんなはずじゃなかった」と離職に繋がるケースも出てしまうかもしれません。離職率が上がると、さらにコストがかさみ本末転倒になるので、ありのままの病院の魅力が伝わるようにしましょう。
掲載するコンテンツ例
新卒看護師向け
インターンシップ・病院見学会の案内
病院選びの際に、気になった病院数カ所のインターンシップに参加します。ほとんどの看護学生が何らかのインターンシップに参加されるのではないでしょうか。インターンシップの案内では、学校の病院実習では行くことができない診療科や看護技術など、実際に先輩ナースに付いて体験できることをアピールするなど、興味を引く内容にしましょう。
病院の立地・看護師寮や住宅補助
新卒看護師の年齢は、大体20代前半です。地元の学校を卒業し、就職は都会でしたいと考えている方も多いと思います。都会や観光資源の多い場所にある病院であれば、その土地の魅力や看護師寮の有無・立地や利便性・家賃・引越し補助などをしっかり提示できるといいですね。
キャリア形成・教育システム
また、今後のキャリア形成についても関心が高いと思います。教育支援システムや認定看護師取得のための病院からのバックアップ体制の有無や、院内外の研修・勉強会・学会発表などの充実度はしっかりアピールしましょう。また、希望病棟が決まっていない新卒看護師も多いと思いますので、診療科ごとにリアルな看護師の声を載せるのもいいでしょう。
学校の先輩看護師の声
不安だらけの新卒の就職ですが、ホームページ に同じ学校の先輩のインタビューが載っていると、とても安心します。自院に面接に来てくれそうな看護学校の、先輩看護師の生き生きと働く姿を載せてはいかがでしょうか。
社会人看護師に向けて
新卒看護師は、若い方ばかりではありません。近年の看護師人気に伴い、社会人・主婦から看護師を目指し学校を卒業するケースも多くあります。年齢は高いが新人となるので、プリセプターになる看護師の年齢を配慮する取り組みや、同じ社会人から入職した看護師の声などを載せることで、安心感を与えることができ、興味を持ってもらうことができるでしょう。
既卒看護師向け
既卒看護師の転職の条件は様々であり、多岐にわたるでしょう。自分のやりたい看護(ゆっくり患者さんに関わることができる環境)や年収、残業がないところ、人間関係が良いところ、など自分の中で就職するにあたっての条件がはっきりしているケースが多く、優先順位が決まっていることが多いと思います。
ホームページでは、看護師の勤務体制や看護方式、残業の有無など、ありのままをしっかりお伝えできるといいでしょう。
男性看護師向け
男性看護師は看護師全体の1割程度といわれ、年々増加傾向にあります。自院の男性看護師の割合を明示する、実際に働いている男性看護師の声を載せる、なども参考になると思います。
また、男性看護師は少数なので横の繋がりが強く「男性看護師会・メンズ会」といわれる会が発足している病院もあります。飲み会や悩みの相談、勉強会などが行われているようです。非公式で活動していることもあるので、病院側で公式化しホームページで紹介してはいかがでしょうか。女性ばかりの職場にこのような会があれば、男性にとってはとても心強く感じられると思います。
主婦看護師向け
小さい子供のいる主婦層には、院内託児所の案内や、子供の行事などのお休みがとりやすいなどもお伝えできれば良いですね。○歳までの子供さんを持つ看護師には、時短勤務や、日勤勤務のみで従事できるなども、自院で取り組んでいることがあればアピールすると良いでしょう。
潜在看護師向け
一度看護師の仕事を離れてブランクのある潜在看護師にとって、復職はハードルが高いと感じているでしょう。ブランク期間中に、求められる看護スキルは進化しています。以前と変わらない部分についてもブランク期間中に忘れてしまい、他の部分でも曖昧になっていることもあります。
そこで、ブランクのある潜在看護師に向けた復職支援セミナーなどを開催し、ホームページで告知してはいかがでしょうか。受講者募集の際、自院の面接を受ける受けないに関わらずどなたでも受講してよい、という文言を入れておきましょう。復職への第一歩のハードルが少し下がり、応募しやすくなるはずです。
セミナーでは、現在の看護スキルについての研修や、電子カルテ、基礎的な看護技術の見直しなど潜在看護師が不安を抱いている部分を中心に、できれば自院で行えると雰囲気も伝わるのでいいですね。潜在看護師から実際にいま働いている看護師の声や、入職後の支援体制も載せると不安を軽減できるのはないでしょうか。
まとめ
これから採用ホームページを作ろうと考えている、病院・クリニックの経営者・人事担当者の方の参考になれば幸いです。ただ、求職者に魅力をアピールできるサイトが作れたとしても就職や転職を考えている看護師に、サイトに見にきてもらう必要があります。 SNSを活用しホームページと連携することで 訪問者を増やしていきましょう。