これから小規模事業者持続化補助金申請をされる方へ
「補助金申請に必要な計画書などの様式(テンプレート)は用意されていますが、記載【必須】項目の書き方が自由なため、何を書いたら良いのかわからず、戸惑ってしまう方も多いのでは!? 」そこで、小規模事業者持続化補助金申請書の書き方のコツやポイントについて説明していきます。 この申請書類には、それぞれ押さえておくポイントがいくつかあります。長い文章を書くのが苦手な方でも、これから説明する要点を一つひとつ押さえていくことで、採択されやすい申請書を書くことができます。
この記事では、採択に大きな影響を与えると言われている『経営計画』と『補助事業計画』に重点を置いて、その重要ポイントから書き方のコツまでを丁寧に、順を追って紹介していきます。
参照:「小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック」第13版2024年5月8日 全国商工会連合会
申請手続きで必ず提出する書類(6点)
「はじめに、申請書類と重要な項目の確認をしていきましょう」
申請書類の一覧
1. 小規模事業者持続化補助金事業<一般型>に係る申請書(様式1)
2. 経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)
3. 補助事業計画書②(様式3)
4. 事業支援計画書(様式4)*依頼に基づき、地域の商工会・商工会議所で作成されます。
5. 補助金交付申請書(様式5)*補助金事務局で預かられ、採択決定後に正式受理されます。
6. 宣誓・同意書(様式6)
採択されるための重要な項目(8箇所)
経営計画書兼補助事業計画書①の重要な項目で、自由に説明文を書くようになっているのは、下のとおりです。
<経営計画>
【必須】 1. 企業概要
【必須】 2. 顧客ニーズと市場の動向
【必須】 3. 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
【必須】 4. 経営方針・目標と今後のプラン
<補助事業計画①>
【必須】 1. 補助事業で行う事業名※30文字以内
【必須】 2. 販路開拓(生産性向上)の取組内容
【任意】 3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容*公募要項
【必須】 4. 補助事業の効果
申請書類の書き方のコツ
「申請書類に記載した内容が、矛盾しないことが重要です」
○趣旨に一貫性がないとその時点で、審査からはじかれ不採択となってしまう可能性もあるので、しっかりと構成を練ってから書きはじめましょう。
※注意する点は、内容の「一貫性」と「具体性」です。さらに記載する時は、視覚的な「見やすさ」に気を配りながら、誰が読んでもわかるように心掛けます。
例えば、できるだけ難しい言葉は使わずに、読みやすい箇条書きや分かりやすい表を使い、専門用語には注釈をそえましょう。
構成の練り方
記載をする前に、自社の経営状況を把握しておくことも大切です。そのためにはSWOT分析を使って簡単に、自社の事業状況などを「強み・弱み・機会・脅威」の4つ点から、整理して分析してみましょう。
◯SWOT分析で、事業の経営方針が明確になると、筋の通った信頼性の高い事業計画書を作成しやすくなります。
「SWOT分析を使って、自社の事業状況などを分析しましょう」
SWOT分析について
このように、SWOT分析で「強み・弱み・機会・脅威」が整理できたら、次は「内部環境と外部環境」を組み合わせた4つのパターンで戦略の方向について考え、自社の戦略を明確にします。
【4つのパターンとは】
○強み×機会(強みを発揮して、機会を活かす)
自社の「強み」を活かして、「機会(ビジネスチャンス)」に対して、どんな行動や施策をとればいいのか、自社の良い所を活かしていく戦略です。
○強み×脅威(強みを利用して、脅威を避ける)
競合や市場縮小などの「脅威」に対して、自社の「強み」を使って、どうやって切り抜けていくかを考え、競合他社に対し差別化する戦略です。
●弱み×機会(弱みを改善して、機会に挑戦)
ビジネスチャンス(機会)を活かすために、弱みを補強したり、改善したりする戦略です。弱点を克服するのには時間がかかることが多いため、しっかりと優先順位を決め、段階的に少しずつ進めるように検討します。
●弱み×脅威(脅威の影響を最小限にとどめる)
「脅威」の影響を最小限にとどめるための防衛的な戦略です。最終的には、事業の撤退も視野に入れる必要があります。
SWOT分析をスムーズに行うためには、『4P分析』と『4C分析』を分析し、その2つの分析した内容が矛盾していないか、慎重に確認しておきましょう。
『4P分析』企業側の視点で分析する時に役立つ
『4C分析』顧客側の視点で分析する時に役立つ
「採択されるための重要な項目(8箇所)の書き方のポイントやコツを一つひとつ説明いたします」
<経営計画>について
① 「企業概要」に記載する重要な内容
・創業・設立年月日、所在地
・経営理念
・事業内容(営業日時、役員や従業員の人数とその稼働状況、事業の特長、事業分析及び課題等)
・主要取引先、顧客層、商品やサービス内容
・売上・利益推移、商品やサービスごとの売上・利益貢献度
この項目は、書類審査の第一印象になり、重要な箇所と言えます。企業概要の情報は、漏らさず記載しておきましょう。
②「顧客ニーズと市場の傾向」に記載する重要な内容
・顧客が求めている商品・サービスがどのようなものか、また自社の提供する商品・サービスについて
(具体的な顧客層、商品・サービス名と価格)
・競合他社の存在や対象とする顧客層の増減など、売上げを左右する環境についての過去から現在の推移
(顧客数や問い合わせ数、売上額や受注率、競合や商勢圏などによる変化)
この項目では、今後どのように変化していくことが予想されるのか、将来の見通しも記載しておきましょう。
③「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に記載する重要な内容
・自社や自社の商品・サービスが、競合他社に比べて優れている点、顧客に高評価されている点、第三者からのよい評判など。
この項目は、事実をまとめた現状の説明で、経営状況をしっかり把握していることが伝わります。さらに、経営方針を実現するため、自社の「強み」となる競合他社との差別化した要因も記載しておきましょう。
④「経営方針・目標と今後のプラン」に記載する重要な内容
・今後の経営方針
・その方針を達成するための目標
・その目標を達成するためのプラン
この項目では、経営方針にそったプランを<補助事業計画①>につながる内容で記載します。尚、SWOT分析後の「4つのパターン」で立てた戦略が役立ちます。
<補助事業計画①>について
①補助事業で行う事業名
・「補助金が交付されたら、何をするのか」
・できるだけ簡略する
この項目は、「30文字以内」という条件があります。一見で事業内容がわかるように記載しましょう。
②販路開拓等(生産性向上)の取り組み内容
・商品・サービスの概要
・対象とする顧客層
この項目は、販路開拓などの取り組みで、何をどのような方法で行うのか、自社と他社が異なる点や創意工夫した点、特徴などを具体的に記載しましょう
③業務効率化(生産性向上)の取り組み内容
※この項目の注意点、記載は任意とされています。しかし、特別枠などの申請もされる場合には、記載が必要です。そして、この項目の記載のみでは、申請できません。
この項目の記載が必要な場合は、業務の効率化を図るための、新たな取り組みを記載しましょう。
④補助事業の効果
・売り上げ目標
・売上や取引などに、どのような効果があるか
・その際、事業を行うことが、その効果に結びつく理由
この項目では、「売上が向上すること」が最も重要なります。既存事業と新規事業の3〜5年間の売上推移の例をグラフで表し、事業のスケジュール管理表などを用いて視覚的にわかりやすく具体的に記載しましょう。
書類審査のポイントを知る
審査の基準を理解することで、採用担当者が注目するポイントに合わせた、適切な情報を記載することができます。これにより、書類審査を通過する可能性が高まります。
引用:「小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック」P11ページより
過去にどんな事業計画が採択されているかを知る
過去の採択事例を知ることは、採択されるための対策として役立ちます。また、すでに採択された事業計画から学ぶことで、時間と労力を節減することもできます。
【採択者一覧から抜粋】
○そば屋:スチームコンベクションオーブンを使用した、販路開拓
○パン屋:もちもちパンの開発とおしゃれなデザインのパッケージ開発
○清掃業:地域広報とHPの改修による新規顧客獲得
○美容業:お客様が安心して通え、従業員が長く働けるサロンづくり
※小規模事業者持続化補助金の公式ページに採択者一覧が記載されています。
【採択者一覧:https://s23.jizokukahojokin.info/saitaku.php】
全体の流れ
商工会地区と商工会議所地区で入力ページが異なります。
※事業所の所在地は、どちらの管轄になるかを事前に確認しておきましょう。
1.申請手続き
◎電子申請システムを利用する方で、アカウントの取得が未取得の方
電子申請システムを利用するためには、gBizIDプライムアカウントの取得が必要です。まだアカウントをお持ちでない事業者の方は、事前にgBizIDプライムアカウントの取得をしておきましょう。
※公式ホームページには「取得に3~4週間要します」と書かれてあります。
Jグランツ(電子申請)をご利用する方は、小規模事業者持続化補助金の公式ページの「Jグランツ(電子申請)について」から
【Jグランツ(電子申請)について:https://r3.jizokukahojokin.info/jgrants.php】
◎提出する申請書類の作成
【申請手続きで、必ず提出する書類(6点)】に記載する。
申請書類に不備不足があると審査の対象外となります。なお、小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書、経営計画書兼補助事業計画書、補助事業計画書は単独申請と共同申請(通常枠のみ)で、提出書類の様式が異なります。
提出前にチェックリストを使って、不備・書類不足がないかを確認しましょう。
小規模事業者持続化補助金の公式ページにあるチェックリストをご利用ください。
【チェックリスト:https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_checklists.pdf】
◎管轄の商工会議所もしくは商工会に「事業支援計画書」の交付を依頼
申請書類の様式については、申請資料・様式より入手できます。
【任意の提出書類】
※詳細については、公募要領よりご確認ください。
◎事務局へ申請書類等を送付
電子申請もしくは、配送のいずれかの方法で申請することができます。(共同申請の場合は電子申請が利用できません。)
郵便などで申請を行う場合は、準備した申請書類と一緒に電子媒体(USBやCD-R)の提出も必要になりますので、忘れずに同封しましょう。
※送り先は、商工会地区と商工会議所地区によって異なります。
[商工会地区]
事業所の所在地を管轄する事務局へ提出してください。
[商工会議所地区]
日本商工会議所
〒151-8799 代々木郵便局留め
【一般型】商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局
◎審査および採択・不採択の決定
審査が終わると、採択結果通知書が送付されます。尚、補助金事務局のホームページ上でも採択結果の一覧を確認することもできます。
公募締め切りから採択結果発表までの期間は、おおよそ2ヶ月前後です。
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2.採択された場合
◎補助事業実施
採択された場合、事業者には交付決定通知書が送付され、交付決定日より補助事業を開始することができます。
※詳細については、公募要領、交付規定、補助事業の手引きよりご確認ください。
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3.実績報告手続き
◎実績報告書の提出、報告書等の確認、補助金額の確定
補助事業の終了後、定められた期日までに実績報告書等を提出しましょう。
※補助金の交付決定を受けても、定められた期日までに実績報告書等の提出がない場合には、補助金は受け取れません。※詳細については、公募要領、補助事業の手引きよりご確認ください。
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4.請求
◎補助金の請求
実施報告書を送付した後、補助金事務局から補助金確定通知書が送付されます。
その後、補助事業に係った経費等の精算を行うために精算払請求書を作成し、事務局に補助金の請求を行いましょう。
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5.入金
◎補助金の入金
事務局に補助金の請求を行った後、事務局より補助金が振り込まれます。なお、振込が完了したことの通知はありませんので、振り込まれていることを通帳などで確認しましょう。
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6.報告書の提出
◎事業効果および賃金引上げ等の状況報告書の提出
事業効果および賃金引上げなどの状況について、報告書を定められた期日までに提出しましょう。
※詳細については、交付規定よりご確認ください。
「申請から事業実施までの全体の流れは以上の通りです」
初めての方、過去に採択されなかった方でも、書類の書き方のコツと採択されやすいポイントを押さえ、経営方針はストーリーを持たせるように作成し、計画書は一貫性のある構成にすることが重要だと、ご理解頂けましたでしょうか。
しかし、しっかりした内容を練るためには、多くの時間と労力が必要とされ、本業がおろそかになってしまう可能性も考えられます。補助金の申請を考えてはいるが…書類の作成できそうにないということであれば、申請書類の作成サポートを依頼するのも選択肢の一つだと考えましょう。
この記事を読んで、申請書類が完成しましたら、貴社とは関係のない第三者に見てもらうことをおすすめいたします。